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パタリロ、無念の舞台化へ

宝塚OGの樹里咲穂はある日、自分が持っているテレビ番組で現・宙組トップスター朝夏まなとにこう切り出した。

「(あんたには)バンコランやってほしい」。

バンコランとは、少女ギャグ漫画界の雄「パタリロ」に出てくる超絶美形スパイだ。

樹里の台詞は、いっときの私の心を掴んで離さなかった。
むべなるかな!と何度首を縦に振ったことだろう。

樹里はその後、演出家さながらにバンコランの最愛の人であるマライヒ役や主役となるパタリロ役、そしてタマネギ部隊の群舞など次々と構想を練っていく。対する朝夏は、バンコランがどんな役なのかまったく理解していないようで、ニコニコとその話を聞いている。

 時を経て、宙組エリザベートのポスターが解禁になったとき、トート閣下に扮した朝夏のビジュアルを見たファンのうち一体何人が同じことを思ったのだろう。

宙組公演 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

お前、バンコランやないかい!と。

私もそう思った。激しくそう思った。だからパタリロを宝塚で舞台化してほしいという思いは一層高まったのだ。レンタルコミックでパタリロを借り、ときにはDVDを借りて激しく笑い、ちょっぴり泣きながら予習していたのに。
まさか、他の舞台に先を越されるだなんて。

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バンコランをそっちのけにし、同じ組織に所属している彼(ジェームス・ボンド)に夢中になっていた時期はあった。しかし、私はパタリロの宝塚化を切望していたし、この願望を忘れたことなど一度もなかった。

「美しさは〜つみ〜微笑みさえ〜つみ〜」と黒薔薇のシャンシャンを持った朝夏がゆっくり大階段を降りていく姿を観ることができないなんて本当に哀しい。哀しみのコルドバより哀しい。

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 しかしながら、パタリロの舞台化を愛さない人はいない。
私は必ず観に行くだろう。